1.仮に指揮者やドラム、ベースがいなくても、テンポが変わらず演奏できるようなリズム感を個々に持つ途中でテンポが変わる曲などの例外もありますが、パート譜を一人で練習するときも、休符を待つタイミング含め、これは心がけておきましょう。“周りの音が出たから自分が演奏し始める”みたいに、リズムに対して受動的な姿勢の人が複数いるだけでも、お互いがお互いを引っ張りあって全体のテンポがどんどん遅くなっていってしまいます。これはリズムでのアプローチ要素もウエイトが大きいポップスやジャズにおいては致命的です。むしろ元気さが余って早くなる方がまだマシだといえます。(本当はそれも良くないですが) 頭の中で正確なパルスを鳴らし、それを他の演奏者と共有するイメージで全体にリズムを作っていきましょう。
2. クレシェンド、ディミニエンド、レガート、スタカート、フォルテピアノなどのニュアンスは多少オーバーに表現するクラシックと違い、ドラムその他の打楽器、低音部(ベース)などが絶えず鳴っているジャンルの音楽です。普通に演奏していたらほとんどそのニュアンスは埋もれてしまいます。例えば、「フォルテピアノ→クレシェンド」のような指示があった場合、ff→すぐにppp→クレシェンド(息が持たなければ後膨らましでも構いません)→fff くらいの気持ちで演奏しましょう。また、ホールなどでの演奏は残響音があります。特にスタカートはかなり短く止めないと、音が伸びてしまいます。タイトにニュアンスをつけていきましょう。
3. リズムはキープしつつ周りの音を聴き、自分が今どのポジションにいて音を出しているのかを把握する厳格なクラシック曲と違い、曲中に指定されているフォルテ、ピアノなどの強弱記号は絶対値ではなく、相対値と捉えてください。一つの目安として、自分の耳で判断してみてください。明らかに伴奏である部分を、指定されているんだからと主メロが聴こえなくなるくらいまで大きな音量で吹いたら、おおよそそのバランスで客席に届いてしまっていると思ってください。今自分が演奏しているのが主メロなのか、裏メロなのか、伴奏なのかを判断し、状況に応じた強弱をつけてください。
解説
曲冒頭は盛り上がる[A]に向けての助走です。主メロ含め、ある程度抑えこんで演奏しましょう。徐々に全体でクレシェンドし、8小節目の3拍目から[A]で一気に爆発させましょう。[G]も同様です。[B],[C][H],[I]は原曲では状況説明のような部分です。トランペット、クラリネット、チューバ(もしくはそれ以外の中低音楽器)、フルート群などのメロディパート含め、華々しく演奏するのではなく、テンポキープを心がけながら語りかけるように奏でましょう。
[D],[J]から快活さを強調していきますが、サックスの主メロを埋もれさせないよう、周りはバランスをとってください。[E],[F],[K],[L],[M]はサビの部分です。周りとのバランス(主メロ、裏メロ、伴奏)を把握しながら、自分のポジションを明確に演奏しましょう。もちろん元気に。
[N]が曲全体で一番盛り上げる部分です。弾けましょう。[O]はまた抑え込む部分ですが、[N]での元気さの余波がまだ残っているイメージで。そこから[P]→エンディングに向けて盛り上げていきましょう。
全体を通して、景色の変わり目にドラム、パーカッションの役目が大事になっています。抑え込む部分、弾ける部分の切り替えを意識してください。
(佐野聡)
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