この「ファセクラ」も同大学吹奏楽部の委嘱シリーズ第8作として作曲された。
作品のテーマは「支倉常長」。
約400年前の江戸時代初めに東北地方・仙台藩主であった伊達政宗の命令によりサン・ファン・バウティスタ号でスペインに出航した人物(侍)。
支倉常長は大航海を通じて見たものは何か、日本とは異なる新たな地で何を感じたのかを作曲者ならではの視点でイメージしたドラマチックな作品である。
仙台に位置する大学で学んでいる学生たちが、この地の歴史や偉人を深く探りながら音楽に向かい合って欲しいという作曲者の教育的な想いも込められている。
世界初演は音楽監督である松崎泰賢氏(まつざき・たいけん)の指揮と同大学吹奏楽部によって2015年5月に行われた。
(八木澤教司)
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兵庫県西宮市在住。武蔵野音楽大学作曲学科卒業、同大学大学院音楽研究科修士課程修了。吹奏楽やアンサンブルの代表作は日本のみならずアメリカ、ヨーロッパ、アジア諸国、南米でも重要なレパートリーとなる。
2019年11月9日、天皇陛下御即位奉祝記念式典・国民祭典において天皇皇后両陛下「お出迎えのファンファーレ」として、東京2020パラリンピック開会式の式典音楽として作品がそれぞれ抜擢された。その他、ヨーロッパで歴史的権威のあるスペイン・バレンシア国際吹奏楽コンクールの課題曲に作品が選定、ミステリー映画「ソロモンの偽証・後篇」では「輝きの海へ」が挿入曲として使用されるなど活動は多岐に亘る。これまで全国植樹祭、全国高等学校総合体育大会、国民体育大会の式典音楽制作を歴任。各種コンクール審査員、客演指揮、指導、講演、音楽雑誌執筆に加え、音楽出版社のプロジェクトアドバイザーなどを務める。
合唱曲として手がけた「あすという日が」は、希望の歌、東日本大震災復興シンボル曲と称され、2011年第62回NHK紅白歌合戦において夏川りみ、秋川雅史の両氏によって熱唱された。第21回日本管打・吹奏楽 アカデミー賞 作・編曲部門(2011年)受賞、平成23年度 JBA下谷奨励賞を受賞。
2020年度より関東から関西に拠点を移し、神戸女学院大学音楽学部で作曲・音楽理論・吹奏楽の指導にあたる。
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