この作品は、富山県出身の金管奏者からなる金管五重奏団「Brass Collection」からの委嘱を受け、2015年に作曲、同年9月に富山県にて初演されました。
Cradle(クレイドル)とは、ゆりかごのことです。モチーフの断片が、ゆりかごに揺られるように反復しながら音楽が形成されていくことから、この名を付けました。
イントロダクションの「Gently」で、ゆりかごですやすや眠る赤ん坊を想起させるような柔らかい音楽が提示されます。主部の「Lively」では、ひとたび目を覚ました赤ん坊が元気に遊ぶ様とでもいいましょうか、踊ったり遊んだり、そんなイメージを持ってみてもいいかもしれません。基本的にはこのゆりかごの作法により音楽は流れ、その流れの中で和声もできあがりますが、「Elegantly」の部分は初めから明確な和声進行の下に作られています。ここは赤ん坊ではなくそれを眺める親の心境といいましょうか、我が子を愛おしく思うようなそんなイメージが似合うと思います。それらの部分が繰り返し、最後は「More Lively」で明確なヘ長調になり、明るく締めくくられます。
上記のようなイメージは、決して作曲時に持っていたわけではありませんが、当時3歳の息子が仕事部屋に頻繁に遊びに入ってきたり、すやすや昼寝する姿を眺めながら作曲していたためか、自然とこのような説明になってしまったかもしれません。
大阪音楽大学音楽学部作曲学科作曲専攻出身。
アジア作曲家連盟「アジア音楽祭」、 済州国際管楽祭(韓国) 、国際現代音楽協会「World Music Days」(2009/スウェーデン, 2014/ポーランド)、高雄春天藝術節(台湾)等、東アジアや欧米を中心に作品を発表。 2015年8月には、済州国際管楽祭20周年記念委嘱作品を機に、韓国国営放送KBSの密着取材を受け、ドキュメンタリー特集が放送された。
第3回ACL-Korea青年作曲賞優秀賞、 第15回大邱国際現代音楽祭最優秀賞、日本クラリネット協会クラリネット作品コンクール第3位、関西現代音楽交流協会作曲賞、第7回全日本吹奏楽連盟作曲コンクール第1位(2015年度全日本吹奏楽コンクール課題曲V『暁闇の宴』)、等を受賞。
2008年12月、亀井純子文化基金(現・神戸文化支援基金)の助成により、朗読音楽作品個展『Sarang』を開催(神戸女学院小ホール)、同名のソロアルバムを制作。2015年9月には京都芸術センターの委託・主催により、ファゴット奏者の中川日出鷹氏とのコラボ個展『Double Respiration』を開催。? 様々な編成の作曲作品を発表する一方で、南海電鉄CMやKBS京都テレビドラマ等、映画やテレビ等の劇伴音楽も制作。その他に、指揮・音楽指導、クラリネット・リコーダー・巴烏(Bawu, 雲南の横笛)等の演奏、芸術国際交流等でも活動。関西現代音楽交流協会、日本管打・吹奏楽学会各会員。
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