大阪音楽大学を卒業したクラリネット奏者たちで結成された、リベルテ・クラリネット・カルテットのみなさんに委嘱され、2022年に作曲し、2023年2月に初演されました。
タイトルの「ジェラシー」には、嫉妬という意味がありますが、近づきたくても近づけない、あまりにも魅力的で憧れる存在。でも憧れだけでは終わらせたくない、少しでも近づきたい。そんな葛藤のような思いを込めています。念のため、スイートは組曲の意味。
1.「階梯導入」は、特定の主題的要素が、バス、テノール、アルト、ソプラノの各声部につぎつぎに導入される、作曲技法のこと。作曲の学習で避けて通れない和声法のラスボス的な存在で、私は相当悪戦苦闘しましたが、パズルを解くような面白さがあります。後半には、保続低音の技法も現れます。
2.「セレナード」は、ジャズナンバーの「ムーンライト・セレナーデ」への憧れ。ただ、終始穏やかではなく、気まぐれにスケルツォ風のエピソードも挿入され、最後は風に舞う木の葉のように終わります。
3.「タンギング・ブルース」は、ブルースコードを用いた曲で、鮮やかなタンギングがクラリネット奏者の腕(舌?)の見せどころです。ここまでの3曲、ジャズのスタイルを取り入れているのは、メンバーでジャズクラリネット奏者として活躍する鈴木孝紀さんに影響を受けたためです。
4.「24の調で」は、バッハの平均律や、ショパンの前奏曲などで扱われている24の調を5分足らずの短い曲で巡ってしまおうと試みた曲。この曲を書いた後に知ったことですが、ベートーヴェンも同じような試みをした作品を残しています。どこに向かっていくのか?風に身を任せるように楽しんで欲しいです。(酒井 格)
大阪府生まれ。4歳からピアノを習いはじめ、6歳で最初のピアノ作品を作曲。高校時代、吹奏楽部にてフルートおよびピッコロを担当し、在学中よりアンサンブル、吹奏楽のための作品を作曲。大阪音楽大学作曲学科に進学、同大学院を修了。
国体のファンファーレ、奈良県吹奏楽連盟40周年、50周年、60周年記念の委嘱作品。大阪市音楽団、各自衛隊音楽隊など、プロフェッショナルな吹奏楽団から、アマチュアの市民バンドまで数多くの委嘱を受け新作を発表。第81回(平成21年)以降、選抜高校野球大会では入場行進曲の編曲も行う。
第25 回日本管打・吹奏楽アカデミー賞(作編曲部門)受賞。平成23、26、27、28、30 年度、JBA下谷賞受賞。
21世紀の吹奏楽「響宴」会員。大阪音楽大学非常勤講師。
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