イグナシオ・セルバンテス・カワナ(Ignacio Cervantes Kawanagh 1847~1905)は、ハバナ生まれのキューバの作曲家です。ティプレという中南米の小さなギターを一日中いじっていた3歳児はその後ピアノの腕前を上げていき、18歳のときパリ音楽院に留学。ピアノと和声学で1等賞を獲得し、ロッシーニやリストとも親交を持ちます。その後帰国してピアニストとして活躍しますが、当時スペインの植民地だったキューバの2度の独立戦争により、アメリカとメキシコへの亡命経験を持ちます。セルバンテスは「キューバのショパン」と言われるそうですが、南米的な明るいリズムの中に、どこかショパンを思わせる憂いのある魅力的なメロディーが特徴です。
オペラ、サルスエラ、交響曲なども作曲していますが、37曲のピアノソロと3曲の連弾から成る「キューバ舞曲集(Danza Cubanaダンサ・クバーナ)」をはじめとするピアノ曲が残されています。キューバ舞曲はコントラダンサ(カントリーダンス)の音楽で、ほとんどは1曲1~2分の32小節でできています。曲目はキューバ人の日常生活を切り取ったような題名が多く、笑いあり、悲しみあり、愛と別れが織り込まれています。セルバンテスが10才から48才まで書き溜めたライフワーク的な作品だと思います。
今回この中から第8番「魔女」、第36番「宮廷婦人」、第23番「3つの衝撃」の順に四重奏にしてみました。
1曲目、十六分音符のタンギングが大変になりますが、少し速いテンポであっという間に演奏してほしいです。対照的なハバネラは“気分出して"演奏しましょう。ただ、やり始めるとどこまでも行けちゃうので、「ど演歌」にならないように注意。
2曲目は、はかなげな始まりです。6小節目のデクレシェンドはやりすぎてフレーズを壊さないようにしましょう。この辺は上品に。Aの前はrit.があっても良いと思います。
3曲目、いかにもキューバ舞曲という感じの曲です。出だしのピアノからリズミカルに演奏しましょう。短時間に何回もめまぐるしく転調する面白さを感じながらシンコペーションを生かして楽しんでください。
『おとなの小品』って感じの名曲だと思います。アンコールでもいいですね。
新潟県立巻高等学校卒業。武蔵野音楽大学でトロンボーンを坂本辰則氏に師事し卒業。
1993年から2008年までオブロークラリネットアンサンブルの代表を務める。2009年1月にクアトロ・パッツァを加藤純子と共に立ち上げる。
世田谷学園、世田谷おぼっちゃまーずとオブローの為に多数アレンジをしている。
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