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ピアニスト、作曲家として知られたS.ラフマニノフ(1873-1943)はロシアに生まれ、1917年以降はアメリカに暮らした。1940年にニューヨークで作曲されたこの「交響的舞曲」は、ラフマニノフ自身、これが最後の煌めきになるだろうと予感していた。
3楽章からなる管弦楽作品として構想されたが、まず2台ピアノのための版が8月10日に完成(op.45a)。自宅の私的な演奏会で、ウラディミール・ホロヴィッツとラフマニノフにより演奏された。その後、管弦楽編曲を行い、10月29日に完成。翌年の1月3日に初演された。
この作品は、管弦楽版のみならず、2台ピアノ版でも広く愛好されている。室内楽曲として楽しまれる2台ピアノ版は、管弦楽より貧弱だとは決して言えまい。2人の奏者が対峙することで醸し出すスリリングな表情、打鍵楽器としてのピアノの魅力、想像力としての音色の魅力の世界へとわれわれを誘う。
さて、たとえばほんとうの原曲である2台ピアノ版に基づいて吹奏楽編曲を施せば、管弦楽とは異なった色彩が味わえるのではないか。そう考え、新編曲を作った。もちろんラフマニノフの意図とは異なったものとなるだろう。しかしそれが編曲の妙味であり、ある意味、私自身の作品であるとも言える。吹奏楽ならではの色彩を味わっていただきたい。
楽器編成としては、オーボエ2本、バスーン2本を含み、サクソフォーン・セクションは、ソプラノ、アルト、テナー、バリトンがそれぞれ2本ずつ、さらにバスが加わる。金管楽器にはコルネットとバリトンを用いた。ラフマニノフの管弦楽版に含まれているピアノは用いず、あくまで管楽器主体の編曲となっている。
(伊藤康英/初演プログラムより抜粋)
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