I. Prelude
II. Arietta
III. Finale
1楽章はFugetta形式による無調的な作品です。冒頭で提示されるSujet [主唱](1er.の冒頭部分)5度調によるR ponse la dominante [応唱](3小節目アウフタクトで始まる2e.)そしてそれに伴うContre-sujet [対唱](1er.3小節目アウフタクトからのモティーフ)が提示されるという、無調でありながらも古典的手法に基づいています。ですからセオリー通り応唱時の属音にあたる音は「変応」させています。6小節目アウフタクトで始まるBs.Cl.による3声目を経て、1er.で提示される9小節目アウフタクトの4声目は反行型による主唱です。ここまでが提示部で練習番号AからのDivertissement (嬉遊部)を経て比較的自由な形で曲は進んで行き、練習番号Dでテーマの拡大形、Strette (追迫部)を経て1楽章は終了します。
2楽章冒頭は多調性による「歌」から始まります。Bs.Cl.はC Dur、2er.はAs Dur、1er.はE Durで歌い始めます。練習番号B以降のSenza Tempoは1960年代のコンテンポラリィ・ミュージックでエスタブリッシュされていた手法によって書かれています。各パートの時間軸関係はさほど重要でありません。Repeat and Repeatの速さ、それぞれの音価も自由です。
是非当時の作品に触れて研究して下さい。この2楽章のSenza Tempoの部分は書かれている楽譜を正確に演奏する、という事よりもバロック音楽やJazzの様に、書かれている楽譜は単なる設計図であって、その設計図を演奏者の皆様が自由な発想を持って表現するためのエチュードです。これは今現在の学校教育に於ける吹奏楽現場への警鐘の意味も含んでいます。
3楽章は1960年代フランスの管楽器世界に於けるもう一つの潮流に則って書かれています。E.Bozza、J.Fran aix、P.M.Duboisの一連の作品などが参考になるでしょう。(天野正道)
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