ギリシャ神話で、地中海に浮かぶクレタ島の最初の王妃とされる「エウロパ」は、西洋音楽の発祥地、ヨーロッパの語源でもある。
これまでの作曲作品の中で、極めて西洋音楽らしく、サクソフォン・アンサンブルに相応しいと思える4つの小品を集め、組曲とした。原曲はピアノソロ曲や、バイオリン、チェロとのピアノ3重奏形式のものもあり、全曲、サクソフォンのために半音上げ移調を施した。
どの楽曲も、ヨーロッパの国々の香りや国民楽派的作風からの影響が否めないのだが、それがどの国か、具体的にイメージしていないものもある。ヨーロッパをベースにユーラシア全域を旅するような気分で、それぞれの楽曲を理解していただけたらとても嬉しい。
そういった性格の組曲であるから、各曲単品でチョイスしていただけるものである。作風も、舞曲や大衆的要素を持つので、演奏家によるテンポやダイナミクスなどの大胆な解釈もあり得ると考えている。
I. 泉 Andante con amore
イタリアのFAZIOLI Pianoを初めて触った瞬間、まるで泉のように指先から生まれ出たピアノ曲。朝霧の中、深い森いっぱいに音楽が響いていくイメージ。
II. サラダ・デイズ Andante Capriccioso
本来なら2/4拍子で書くべきであろう、古典舞曲の骨格を持った小品。気まぐれ(Capriccioso)で楽しい楽曲。
III. ノーフォークの風 Adagio nobilmente
緑一面、果てしなく広がるイギリスの田園、農村風景。郷愁。回想シーンのように遠くから聞こえてくるのは、ケルティック風の舞踊。
IV. A Dancer Unknown 見知らぬ国で Allegro misterioso, quasi celtic dance
ヨーロッパのどこの民族かわからない、見知らぬ国の見知らぬ舞曲。失恋の痛手をかき消すかのように、無心でただひとり踊る女性(スパニッシュ系プロ・ダンサー)のイメージで作曲。
(光田健一)
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