交響組曲「高千穂」より、I. 天の逆鉾：河邊一彦 [吹奏楽大編成-レンタル譜]

交響組曲「高千穂」より、I. 天の逆鉾

題名の「高千穂」は、九州南部、日向と薩摩(現在の宮崎県と鹿児島県)の境に位置する「高千穂の峰」のことで、霧島山系一の霊峰であり、天孫降臨(てんそんこうりん)伝説の舞台として知られています。

天孫降臨伝説とは次のようなお話です。

アマテラスオオミカミが、孫のニニギノミコトへ神の世界から地上へ降りて国を治めるように言い、神の皇子による国造りが始まりました。時が経ち、ニニギノミコトの子孫のカムヤマトイワレビコが、東方に王都としてふさわしい土地があると知り、奈良盆地へ攻め入り大和の国をつくりました。カムヤマトイワレビコは初代天皇とされる神武天皇として即位し、大和朝廷の開祖になったと言われ、神武東征(じんむとうせい)伝説として伝えられています。

この作品は、霧島山系の豊かに広がる大自然とそこにまつわる神話をもとに、4つの曲からなる組曲の第1曲として、平成22年に行われた東京音楽隊九州公演のために作曲されました。曲名の「天の逆鉾」とは、ニニギノミコトが地上へ降り立つ場所を探すのに用いた鉾を降臨の地である高千穂の峰に逆さに立てたとされているものであり、現在も力強く立ち続けています。

曲は、天孫降臨伝説を表現したファンファーレに始まり、それに続く神武東征伝説での戦いが描写されます。中間部で民衆の子守唄が聞こえた後、再び戦いが描かれる中、ついに王権を収めた勝利のファンファーレが奏でられ、終結部へと向かいます。

仕様

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楽器編成

主要ソロ：Percussion, Oboe, Bb Clarinet, Trumpet, Horn, Alto Saxophone, Piccolo

CDジャケットには「38人」と記載がございますが、42人の誤りです。申し訳ございません。

河邊一彦(Kazuhiko Kawabe)

宮崎県に生まれる。

大分県立芸術短期大学付属緑ヶ丘高等学校音楽科、武蔵野音楽大学音楽学部器楽科においてクラリネットを専攻。

クラリネットを故千葉 国夫氏に師事。1977年10月から2014年3月まで海上自衛隊音楽隊に在籍し、クラリネット奏者、指揮者として国内外において演奏活動を行った。この間、1990年には、東京藝術大学音楽学部(聴講生)、2003年から2005年には桐朋学園大学音楽学部(指揮研究生)において、指揮法、作曲理論等を学ぶ。2010年3月から2014年3月までの間、海上自衛隊東京音楽隊長として日本各地において演奏活動を行うとともに、国内外吹奏楽作品の録音を積極的に行った。特に「祈り～未来への歌声」(UNIVERSAL CLASSIC & JAZZ UCCY-1032)は、「第55回日本レコード大賞」企画賞、「第28回日本ゴールドディスク大賞」クラシック・アルバム・オブ・ザ・イヤー、「第6回CDショップ大賞」クラシック賞の3冠を受賞。また、本アルバム等による吹奏楽界への貢献から、2014年度「第24回日本管打・吹奏楽学会アカデミー賞」演奏部門を受賞。

作曲家としては、ジャンルにとらわれない歌心あふれた作品を発表し、吹奏楽コンクールやコンサートなどで取り上げられている。特に、「歌と吹奏楽」の融合を意図した「交響組曲　高千穂」第2曲　仏法僧の森、「嵯峨野~ソプラノと吹奏楽のために~」などは吹奏楽の新しい可能性を追求した作品として注目されている。なかでも東日本大震災のために作曲された「祈り a Prayer 」は、ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団、仙台フィルハーモニー管弦楽団、東京ヴィヴァルディ合奏団、ニュージーランドのソプラノ歌手ヘイリー・ウエステンラ等のコンサートでも取り上げられている。

修正情報

SYMPHONIC SUITE TAKACHIHO I. THE PIKE OF GOD：Composer: Kazuhiko KAWABE

The “Takachiho” in the title of this piece refers to “Mt. Takachiho,” which is located in southern Kyushu along the border of Hyuga and Satsuma. Mt. Takachiho is the most sacred peak in the Kirishima mountain range, and it is wellknown for being the site featured in the legend of the descent of Amaterasu’s grandson.

This legend is usually recounted as follows.

AmaterasuOmikami ordered her grandson NiniginoMikoto to descend from Heaven to Earth to rule the country, which established Japan as a country ruled by the descendants of the gods. After some time had passed, NiniginoMikoto’s descendant KamuyamatoIwarebiko discovered that there was land in the east that was perfect for a royal capital, and he invaded the Nara Basin to establish the Yamato Province. KamuyamatoIwarebiko ascended to the throne as Emperor Jinmu, the first emperor of Japan, and he is said to have been the founder of the Yamato Dynasty, according to the myth of the Eastern expedition of Emperor Jinmu.

Written for Tokyo JMSDF Band’s Kyushu concert in 2010, this piece was composed as the first part of a fourpiece suite based on the rich and expansive nature of the Kirishima mountain range and the myths associated with this area. Its title “The Pike of God” is a reference to the pike used by NiniginoMikoto to find a spot where he could descend to Earth. This spot was said to have been the peak of Mt. Takachiho, where the pike was found inverted and is still standing strong today.

The piece opens with a fanfare that depicts the legend of the descent of Amaterasu’s grandson, which leads into the scenes of battle from the legend of the Eastern expedition of Emperor Jinmu. A lullaby of the commoners can be heard in the middle section, followed by the return of the battle scenes. The fanfare associated with the victorious establishment of royal authority is then performed before the piece approaches its coda.

Specifications

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