本作品は、京都市交響楽団トランペット奏者、早坂宏明氏の委嘱により、同氏が主催を務める京都トランペット・グループ「Summer Breeze」のために作曲された。その名称から、四季と四大元素のそれぞれを組み合わせて全四楽章としているが、全曲は attaccaで繋がれている。各楽章の演奏に要する時間は、私自身の各季節における、体感的な長さに一致しており、比率は夏から順に、4:2:5:1となっている。なお、3から8番奏者にはフリューゲルホルンの持替あり。
奔放的な第一楽章は「夏+風」。「Summer Breeze」とは「夏の微風」だろうか、憧憬的な印象を受ける言葉である。穏やかな記憶はいつも、ほんの少しの憧れを道連れにしているものだ。この楽章のみ、単一で演奏することが可能。
「秋+土」に依る第二楽章は、諧謔的な音型と、終着点のないコラールから成る、やや無機質な楽想。くるくると旋回して欲しい、人知れず土に落ちる枯葉のように。やがて、再生の時が来るだろう。
第三楽章は「冬+水」より、涙をイメージしたもの。フリューゲルの柔らかい音塊は、東洋的な音の拡がりを目指したものであり、その中に、トランペットが固有に持つ歌を響かせたかった。感情の昇華を一義に置いて作曲された楽章。涙を知っているから、人は哀しみが感じられるのだと思う。
狂乱的で、何一つ調和的なものが感じられない季節…第四楽章は「春+火」より、桜が連想された。咲いているなどと云う形容では、その本質に遠く及ばない。桜は燃えている。命の短さに懸ける、その狂気性こそが、とても美しい。(井澗昌樹)
I - Summer Breeze
II - Autum Circle
III - Winter Tears
IV - Spring Madness
大阪教育大学教養学科芸術専攻音楽コース卒業。同大学大学院芸術文化専攻修了。作曲を澤田博、北川文雄の両氏に師事。
主な作品に、バリトン独唱と管弦楽のためのカンタータ「倭建命 流離譚」、トランペット八重奏曲「四季の奏鳴」など。吹奏楽作品に、「火の断章」(2008年度全日本吹奏楽コンクール課題曲)、「Bye Bye Violet」、「愛の祭壇」など。
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