マヌエル・インファンテ(1883~1958)は、スペインのセヴィーリャ近郊で生まれました。ピアノと作曲をエンリケ・モレラに学び、1909年にパリに定住します。当時ファリャもパリに住んでいましたが、そこで芸術的な刺激を受けながら、ピアニストとして指揮者として活躍しました。残された数少ない作品はスペインの民謡や舞曲を印象主義の語法で表現したものが多く、特にピアノ曲は秀逸です。
アンダルシア舞曲は1921年に2台のピアノの為に作曲された3曲からなっています。
第1曲「リズミックに“Ritmo”」フラメンコでお馴染みのファンダンゴのリズムをベースに音楽は転調し発展していきます。
第2曲「感傷的に“Sentimiento”」アトラクティブなカデンツァで始まります。叫び声にも似たモチーフを持つテーマは情熱的なリズムと共に高揚していきます。甘い旋律の中間部はしだいに官能性を帯びてきますが、やがて闘牛場を思わせるような激しいリズムを伴う精悍なテーマが現れます。その後も曲想は落ち着くことなく変化していき、最後は息絶えるような一音で終結します。
第3曲「優雅に“Gracia”」アンダルシア民謡の「エル・ビト」を使って書かれています。シンプルで哀愁を帯びた恋歌はその後、華麗な装飾を身にまといながら発展し頂点を迎えます。軽快なリズムの後半は、次第に高揚していきます。
参考音源としては、ラベック姉妹の演奏がお勧めです。
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