長野県の飯田を拠点に活動するアンサンブル・ファンファールの委嘱で2006年に作曲。2005年度のアンサンブルコンテスト(東海大会)で同団による「忘却の城跡(ENMS-84085)」の素晴らしい名演を聴かせて頂き心より感動しました。委嘱作品の内容はその印象を踏まえて、メンバーの皆さんと協議しながらテーマから楽想に至まで決めてゆきました。
初演プログラムには次のように記されています。
“この曲を委嘱するにあたり八木澤氏に依頼したコンセプトは、私達の住む地球は自然や人間、全ての事が歪み葛藤している色々な心の戦いであった…。そんなスケールの大きな事を8人で、しかも5分でという難しい内容であったが、その中で完成されたのが「蒼光の紋章」である。 青く光る印、つまり青い地球は我々人類の紋章。地球、自然、人間、心、そのすべてが終わり光を失う…そしてその全てのものが希望や平和を唱えるが、哀しみだけが残り、また繰り返される…。「忘却の城跡」の続編とも言える作品がいよいよ初演をむかえる。”
このように精神的な内容かつ高い技術と歌心を要求される作品でしたが、本当に感動的な演奏をして頂きました。又、特筆したいのは彼らは8人だけで音楽を創っていたのではなく、応援し支えてくれる仲間たちと共に、常に本番に向けての意識と愛を高めていたことです。温かく純粋な気持ちで音楽を探究する、アンサンブル・ファンファールと出会えた私は幸せ者です。優しい気持ちになれる、そんな一時を過ごさせて頂きました。
(八木澤教司)
兵庫県西宮市在住。武蔵野音楽大学作曲学科卒業、同大学大学院音楽研究科修士課程修了。吹奏楽やアンサンブルの代表作は日本のみならずアメリカ、ヨーロッパ、アジア諸国、南米でも重要なレパートリーとなる。
2019年11月9日、天皇陛下御即位奉祝記念式典・国民祭典において天皇皇后両陛下「お出迎えのファンファーレ」として、東京2020パラリンピック開会式の式典音楽として作品がそれぞれ抜擢された。その他、ヨーロッパで歴史的権威のあるスペイン・バレンシア国際吹奏楽コンクールの課題曲に作品が選定、ミステリー映画「ソロモンの偽証・後篇」では「輝きの海へ」が挿入曲として使用されるなど活動は多岐に亘る。これまで全国植樹祭、全国高等学校総合体育大会、国民体育大会の式典音楽制作を歴任。各種コンクール審査員、客演指揮、指導、講演、音楽雑誌執筆に加え、音楽出版社のプロジェクトアドバイザーなどを務める。
合唱曲として手がけた「あすという日が」は、希望の歌、東日本大震災復興シンボル曲と称され、2011年第62回NHK紅白歌合戦において夏川りみ、秋川雅史の両氏によって熱唱された。第21回日本管打・吹奏楽 アカデミー賞 作・編曲部門(2011年)受賞、平成23年度 JBA下谷奨励賞を受賞。
2020年度より関東から関西に拠点を移し、神戸女学院大学音楽学部で作曲・音楽理論・吹奏楽の指導にあたる。
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