1993年秋、若い友人の佐々木幹尚君から、当時彼が指導していた埼玉県立川越工業高等学校吹奏楽部のためにアンサンブル・コンテスト用のピースを何か一曲、との依頼を受けて作曲したもの。
《テルプシコーレ》とは、17世紀初頭にフランスからドイツの宮廷に伝えられた古典舞踏曲を、ミヒャエル・プレトリウス(1571-1621)が編曲、編纂した曲集の名前。4声から6声で書かれた312曲の内のいくつかは、古楽合奏や金管アンサンブルのジャンルではスタンダード・ナンバーとして広く知られている。《テルプシコーレ》の旋律線だけを借用し、リズムやハーモニーを自由に変更することで、新しい音楽に再構成することがこの作品の意図であった。
出版に際して改めて楽譜を読み返し、たんなる編曲にとどまる部分が多いことなど、気になる点もあったが、たかだか10年前とはいえ、当時は当時なりの考えがあったはずなので、あえて初稿のままにとどめた。
《テルプシコーレ》から引用したメロディーは、当該部分にその出典を明記しておいたので、原典をお持ちの方は参考にしていただきたい。
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