J.S.バッハの音楽は、あらゆる全てを持ち合わせていると言って過言ではないだろう。民族・宗教・前衛・大衆・人間・自然…。あらゆる感情さえも含まれている。そんなバッハの音楽に魅せられた人たちが、今日まで様々なかたちに編曲してきているが、この曲も例に漏れず、多様なヴァージョンがある。
かつて私がヴァイオリンで原曲を弾いた記憶が非常に生々しく残っており、その感覚を求めた結果が、このサックス四重奏版となった。「前奏曲」は、もっとも難しく、もっとも輝かしい楽章。そこでは全てが露呈されていて、圧倒的で濃密な空間を作り出す。
「ルール」は、アルト・サックスがフューチャーされ、唯一バロック・スタイルを貫いている。「ガヴォット」は、ラフマニノフのピアノ用の編曲が素晴らしいので、それが更に活きるようなアレンジを心掛けた。「メヌエット」は、1つの旋律をバラバラに受け持ったり(音色旋律と言われる)、バグパイプを模したような響きが出てきたりと、優雅ではあるが、従来の踊り方では踊れないかもしれない。「ブーレ」は、バッハに無礼なほどアレンジが加えられており、最後はほとんど崩壊寸前の寸劇のような楽章。「ジーグ」は、また落ち着きを取り戻して楽しく戯れる。ラストは4人のユニソンで力強く幕が閉じられる。ガヴォットの説明で触れたが、ラフマニノフがプレリュード、ガヴォット、ジーグを編曲している。
どれも素晴らしいが、あまり知られていないのがもったいなく、またサックスとの相性も良いと判断し、随所にちりばめた。生の讃歌のような曲だと昔からの想いがあった。原曲を貫くある種の幸福感を、違う角度、違う形でお見せできたら幸いです。
(北方寛丈)
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