オペラ史上に燦然と輝く傑作『カルメン』。自由奔放なカルメンに心を奪われた青年ドン・ホセが恋によって身を持ち崩して人生転落、終いには愛憎のもつれからその手でカルメンを刺し殺してしまうという、一昔前の昼ドラですら描けないほどの衝撃的(!?)なストーリィ。しかし、2時間半ほどの間に駆け巡るどのフレーズも印象的で、あまりにも潔く流れ去っていく様はまさに野の鳥…魔性の女カルメンそのもののような魅力に満ちたスコア。この編曲はそんなカルメンを中心とする楽曲をつなぎ合わせたパラフレーズです。
場面紹介とともに各曲を駆け足で解説させていただきます。
・第4幕 間奏曲「アラゴネーズ」(冒頭 ~)
スペインのアンダルシア地方から採ったと言われている華麗な舞曲。原曲の打楽器も相当な躍動感を表出していますが、さらなる彩りを加えております。
・第1幕「セギディーリア」([11]~)
カルメンがホセを誘惑するように歌われる楽曲。「アラゴネーズ」の雰囲気を引き継いだまま艶やかに歌い上げてください。
・第1幕 前奏曲後半(Andante moderato ~)
この旋律は「運命の動機」と呼ばれているもので、カルメンの悲劇的な結末を予言するかのような重苦しいものです。劇の進行中、姿を変えつつたびたび登場します。
・第1幕「ハバネラ 恋は野の鳥」(Allegretto quasi Andantino ~)
カルメンの名刺代わりとして歌われる、半音下降していくメロディが印象的な楽曲です。アララ…他所の女も少々登場したような…?さておき、徐々にテンションを上げ、最終的にソビエト連邦時代の有名作曲家の交響曲に突っ込んで、このセクションを終えます(…と言いますか、かの第5番がハバネラを引用しているわけですが)。
・第1幕「シャンソンとメロドラマ」(Allegretto molto moderato ~)
続いてソロ回しが続く穏やかな楽想に移ります。コンクールなど、演奏される状況によっては楽譜をカットしなければいけないこともあるでしょう。ここは時間の調整をしやすいセクションであると思っています。
・第1幕「タバコ工場の女工たちの合唱」(Allegro moderato ~)
変形された「運命の動機」とまとってカルメンが登場する場面。そして、カルメンを待ち望む男たちの合唱に続きますが・・
・第2幕 終曲([26]~)
カルメンに恋をしたホセが密輸入者の仲間入りを果たしてしまう場面へとそのまま繋がれます。さらには・・
・第4幕 二重唱と合唱([29]~)
ホセとカルメンの破局を描く場面へ。ホセの苦悩がオーケストラ全体で歌われるこの響きと旋律は凄まじいものがありますね。そして「運命の動機」を接続詞として、クライマックスへなだれ込みます。
・第1幕「ジプシーの歌」(Allegro molto ~)
オペラ全曲の中で最も盛り上がる曲かと思います。原曲ではフルート2本から始まり徐々にテンポアップしていきますが、この楽譜ではハイテンションで突入。一瞬、オペラ冒頭の「前奏曲」([33]-[34])を挟み、クライマックスに向けて踊り狂います。最後は野の鳥、カルメンの残影を映しつつ、華やかに曲は閉じられます。
先に申し上げた通り、魔性の女カルメンを中心とした楽曲をつなぎ合わせたものであり、曲順などはオペラの進行からは離れ、音楽的な面での組み立てを優先して編纂しております。
スコア上に散見される括弧で括られた小音符については、楽器名が付せられている箇所は不在の代替として、そうでない箇所はバンド全体の響きを考慮して選択なさってください。
また、打楽器の振り分けについてですが、Perc.1は皮モノを、Perc.2&3は鍵盤を中心に据えて書いています。そして、編成の都合上 Perc.4についてはオプション扱いであるため、当然ながら不在の想定もしています。私の他の楽譜であれば、可能なものは1~3に振り分けてやはり小音符で書いていたりするのですが、この作品については使用楽器が多くスコアがとても煩雑になるため、そのような措置を取っていません。手が空いている奏者がいるなら代わりに演奏を、いなければそのままカットということでご理解いただければと思います。(井澗昌樹)
大阪教育大学教養学科芸術専攻音楽コース卒業。同大学大学院芸術文化専攻修了。作曲を澤田博、北川文雄の両氏に師事。
主な作品に、バリトン独唱と管弦楽のためのカンタータ「倭建命 流離譚」、トランペット八重奏曲「四季の奏鳴」など。吹奏楽作品に、「火の断章」(2008年度全日本吹奏楽コンクール課題曲)、「Bye Bye Violet」、「愛の祭壇」など。
Carmen one of the greatest masterpieces in the history of opera.
This paraphrase boldly reimagines the iconic music of Carmen, focusing on the freespirited and enigmatic femme fatale at the heart of the story, from a fresh musical perspective.
The thrilling progression of themes is breathtaking: the elegant opening dance Aragonaise, the emblematic Habanera, the foreboding Motive of Fate, and the passionate Gypsy Song. Each piece is intricately connected, creating a dramatic and captivating experience.
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