この企画は寺田先生のご提案で「中学・高校生をはじめ一般愛好家のレパートリーを開発する」といった主旨のもと2005年にスタートし、私はこれまでに打楽器5重奏曲《バッカナール》、打楽器4重奏曲《スピリチュアル》を作曲した(ブレーン刊)。
今回はその続編として打楽器3重奏曲の作曲に挑戦。メロディメーカーとして知られる私だからこそ、あえて音律のある鍵盤楽器を使用せず、更には3人の奏者のためにトラックを借用することを避け、大型楽器(ティンパニやバスドラムなど)を使用せず自家用車で運搬できる範囲の編成という制約を自分自身に課した。
曲名には長期に渡り企画を継続してきた寺田先生への敬意の意味をこめての“ドライヴ”、そして色彩感のある音色を追求するという意味合いで“スペクトル”を用いた。特に教育現場で親しんでいただけたら幸いである。
(八木澤教司)
初演:寺田由美パーカッション・アンサンブル「ドライヴ」
Perc.1 土屋吉弘
Perc.2 畑中暢行
Perc.3 寺田由美
兵庫県西宮市在住。武蔵野音楽大学作曲学科卒業、同大学大学院音楽研究科修士課程修了。吹奏楽やアンサンブルの代表作は日本のみならずアメリカ、ヨーロッパ、アジア諸国、南米でも重要なレパートリーとなる。
2019年11月9日、天皇陛下御即位奉祝記念式典・国民祭典において天皇皇后両陛下「お出迎えのファンファーレ」として、東京2020パラリンピック開会式の式典音楽として作品がそれぞれ抜擢された。その他、ヨーロッパで歴史的権威のあるスペイン・バレンシア国際吹奏楽コンクールの課題曲に作品が選定、ミステリー映画「ソロモンの偽証・後篇」では「輝きの海へ」が挿入曲として使用されるなど活動は多岐に亘る。これまで全国植樹祭、全国高等学校総合体育大会、国民体育大会の式典音楽制作を歴任。各種コンクール審査員、客演指揮、指導、講演、音楽雑誌執筆に加え、音楽出版社のプロジェクトアドバイザーなどを務める。
合唱曲として手がけた「あすという日が」は、希望の歌、東日本大震災復興シンボル曲と称され、2011年第62回NHK紅白歌合戦において夏川りみ、秋川雅史の両氏によって熱唱された。第21回日本管打・吹奏楽 アカデミー賞 作・編曲部門(2011年)受賞、平成23年度 JBA下谷奨励賞を受賞。
2020年度より関東から関西に拠点を移し、神戸女学院大学音楽学部で作曲・音楽理論・吹奏楽の指導にあたる。
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