イサーク・アルベニス(1860-1909)は、スペイン東北部カタルーニャ地方に生まれ、後期にはイギリス、フランスへと移り住み、フォーレ、ショーソン、ドビュッシーなど著名なフランス音楽の作曲家たちと交流を持ち、影響を受けたと伝えられている。
作品は、管弦楽曲、ピアノ協奏曲、サルスエラ(スペイン風オペレッタ)なども数曲あるが、ほとんどがピアノ独奏曲である。
8曲からなるこの作品は、アルベニスの作品の中でも最も有名で演奏頻度も高い作品であるが、
作曲者による編纂ではなく、出版社が後に構成し、出版時に組曲化された作品である。個々の作品はどれもスペインの民族色を強く打ち出した作風であり、聞いているだけでスペインの風景が浮かぶような秀逸な組曲となっている。
●第1曲「Granada」 原調:F dur 演奏時間:0:05:00
有名なアルハンブラ宮殿のある古都グラナダから名づけられたこの曲は、セレナータの別名を持ち、詩情豊かな郷愁を誘う作品である。S・A・Bによって冒頭から刻まれる伴奏は、流れるようなアルペジオを模しており、軽く流れるように演奏したい。伴奏に支えられるTによる旋律は、抒情豊かに歌うように演奏してほしい。[C]から始まる中間部は、さらにロマンチックに抑揚を大きく歌い上げたい。
●第2曲「Cataluna」 原調:g moll 演奏時間:0:03:52
アルベニスの生まれ故郷であるカタルーニャが名称に用いられている。コランダ(イタリアのコレンテ、フランスのクーラント)という副題が付いているが、カタルーニャ地方でこういった舞曲はあまり伝わってはいない。序奏は音の重なりを意識し、同じバランスになるように。第一主題は、日本の某童謡に似ているため思わず緊張が緩んでしまうが、
重厚に勇ましく演奏したい。主題がTに移ってからS・Aに現れる16分音符の連続はオブリガードであり、S・Aの交代を途切れないよう滑らかに繋がるように練習してほしい。また、低めの音域で奏するTの旋律を消してしまわないように注意したい。
●第3曲「Sevilla」 原調:G dur 演奏時間:0:05:07
セビリア(セビージャ)は多くの音楽作品やオペラの舞台となっているため、音楽家にとってなじみの強い都市であろう。スペイン南部アンダルシア地方を中心に栄えた3拍子のセビリャーナス舞曲のリズムを継承しているこの曲は、管弦楽などで単独で奏されることも多い。フォルテで入る序奏に続き[A]から始まる第一主題は、メゾピアノで流れるように入ってきてほしい。そのため、伴奏は序奏の強さを早めに抑えて伴奏にまわる必要がある。
[E]から始まる Meno mosso 部分の旋律は「民衆的宗教歌のサエタである」との解釈もあるようで、
躍動感あふれる前後との対比をしっかり出したい。大幅に tempo rubato な演奏をしても良いだろう。
1959年生まれ、音楽は父親である米山正夫(昭和の作曲家)より手ほどきを受ける。
小学校よりクラシックギターを始め、フラメンコ、タンゴなどの演奏へ幅を広げ、南米の音楽を得意としている。
吹奏楽分野ではユーフォニウム、ギター、ベース、コントラバス等を演奏。
現在はオリジナル作品の作曲・アレンジ作品の受注製作、各種レコード音源の作成、ギター教育、歌唱教育などを行う。
どんなジャンルでも書けるクリエイターを目指しており、演歌・歌謡曲からクラシック、ラテンまで幅広く対応している。
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