「ディオスクロイ」とは、ゼウスの双子という意味で、ギリシャ神話の最高の神であるゼウスがスパルタ王の妃レダに生ませた双子と言われています。
二人の名はカストールととポリュデウケースで、ポリュデウケースはローマ人からはポルクス(ポルックス)と呼ばれていました。タイトルはその呼び名から取られています。二人は共に勇敢な若者として有名で、特にカストルは戦術に優れ、ポルックスは拳斗の技に優れていたと云われています。
二人はアルゴー船に乗り組み冒険の旅に出ます。アルゴー船とは、ギリシャ伝説上の英雄イアソンが船大工アルゴスに造らせた船の名で、これを使って黒海の東にあるコルキスという国の国宝金色の毛をした羊の皮を取りに航海に出ます。コルキスの王アイエー手巣の裏をかいて、巨大な龍が守っていた金羊毛を奪い、様々な苦難の後悔を乗り越えて帰国します。
しかし双子の兄弟は叔父レウキッポスの娘をさらったことから斗いとなり、カストルは従兄弟に殺されてしまいます。ポルックスは投槍でもう一人の従兄弟を倒して助かります。ゼウスはそのポルックスを連れて天上に昇りますが、ポルックスは兄弟のカストルを地上に残して別れるのを嫌いました。
そのため、ゼウスは双子座の星としたと云われ、また母レダはその近くの白鳥座の星となっています。このkひょうだいは後にローマでも後悔の神として崇拝され、嵐の時などに立つセント・エルモの妃は、彼らの遣いだと信じられていました。(山室静著、社会思想社刊「ギリシャ神話」による)
この神話に基づいて作曲したのがこの曲で、静岡県立小笠高等学校の委嘱で2006年12月23日に同校吹奏楽部によって初演されました。
冒頭、カストルとポルックスを表すフルートとEbクラリネットのソロの掛け合いで始まり、一転してテンポが代わり、二人の楽しげな生活風景を表現しています。中間部では6/8拍子になり、アルゴー船に乗り激しい荒波にも負けず戦いに挑む二人の様子を描いています。矢にあたってしまうカストル・・・。後半部ではゆったりとしたテンポで悲しみにくれながら、父ゼウスに自分とカストルを星にして欲しいと懇願するポルックスが描かれ、願いが叶って双子座となった二人の様子を表現して幕を閉じます。(樽屋雅徳)
1978年千葉県銚子市生まれ。武蔵野音楽大学音楽学部作曲学科卒業。佐藤博、宮本良樹各氏に師事。
フランスで吹奏楽曲「Ardent Overture」を出版。代表作として「絵のない絵本」「民衆を導く自由の女神」「マゼランの未知なる大陸への挑戦」「ラザロの復活」「マードックからの最後の手紙」などがある。
全国の吹奏楽団やマーチングバンドからの委嘱も数多く、その作品の多くが国内外問わず広く演奏され、日本でもっとも人気のある作曲家のひとりである。また、作曲・編曲の傍ら、吹奏楽指導やコンクール等の審査員、執筆活動などでも多くの成果を挙げている。
2004年~2018年まで銚子市立銚子高等学校の音楽監督を務めマーチングコンテストで全国大会へ、吹奏楽コンクールでは東関東大会、東日本大会へと導く。
現在はベルモンテウィンドオーケストラの指揮者・音楽監督を務め、指導者としても高い評価を受けている。
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