龍谷大学吹奏楽部の委嘱で編曲し、2019年12月26日に開催された第46回定期演奏会で同部により初演されました。
「ワグネリアン」という言葉があるほど熱狂的なファンの多いワーグナーの音楽。歌劇《リエンツィ》は、ワーグナーが27歳のときに作曲した比較的初期の作品ですが、そこにはすでに彼らしい魅力的な旋律や絢爛なオーケストレーションが認められます。ワーグナーは、《リエンツィ》の初演の成功を機にドレスデン宮廷歌劇場の楽長に就任しましたので、この作品は彼の出世作といえるでしょう。
物語の舞台は14世紀半ばのローマ。主人公リエンツィは、貴族の悪政に不満をもつ民衆からの厚い支持を受け「最後の護民官」として彼らのリーダーとなります。過激で暴力的な貴族とは対象に、寛大さで治世するリエンツィ。しかし、「その慈悲深さが争いを生んでいる」と次第に周囲の反感を買ってしまい、最後には支持されていたはずの民衆に殺されてしまうという、悲劇的な結末を迎えるのです。
序曲は、序奏部付きのソナタ形式を採っており、民衆に解放を呼びかける信号ラッパ、教会を破門されたリエンツィが神に祈りを捧げるアリア、リエンツィの寛大さを讃える民衆の歌、戦いの場面でリエンツィが歌う精霊の騎士の歌など、オペラの各場面から取られたさまざまな旋律やモティーフが自由に組み合わさってできています。
原調によるアレンジですので、吹奏楽では幾分不向きなシャープ系の音楽ですが、大編成らしいスケールの大きな響きを表現されることを期待しています。(日景貴文)
1990年、埼玉県生まれ。西武学園文理高等学校、及び、尚美学園大学音楽表現学科作曲コースを卒業。第5回日本管打・吹奏楽学会作曲賞佳作、第19回「21世紀の吹奏楽“響宴”」入選、第11回全日本吹奏楽連盟作曲コンクール第1位を受賞。大学在学中は、成績優秀者として3年連続で在学特待生に選出され(うち2度は首席)、大学3年次に大学学長賞を受賞。これまでに作編曲者、指揮者としてラジオ、テレビドラマ、アニメの音楽制作を担当。作曲を川島素晴、愛澤伯友、坂田晃一、久木山直の各氏に、吹奏楽指導法を岡崎明義、合田香の各氏に師事。作編曲のほか、吹奏楽指導、指揮、楽譜浄書、各種コンクール審査員なども行う。大正大学吹奏楽団常任指揮者。
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