サクソフォン8本という華やかな編成で、美しい響きがするアレンジに仕上がりました。
ラヴェルの全作品の中でも、特に彼の名を一躍有名にした名曲ではないでしょうか。
この曲はト長調の4拍子、2つのエピソードを挟んだ単純ロンド形式(A-B-A-C-A)で構成されています。当時まだあまり使用されていなかった長7度や9度音程が頻繁に現れ、崇高的な和声感と叙情的な旋律がとても印象的である作品と言えるでしょう。
パヴァーヌとは、16世紀にヨーロッパの宮廷で普及したゆるやかな2拍子の舞踏。
速度記号は『Lent,四分音符=54』とされていますが、後年、ラヴェル自身が録音した演奏により54 70と幅が持たされているため、この編曲版ではあえてテンポ記載をしておりません。
また、2017年にアンサンブル・オットヴォーチで初演した際には管弦楽版を元に編曲しておりましたが、今回はそこからさらにピアノ版の和声感やアルペジオの表現に注目し、リアレンジさせていただきました。
どのパートも弱奏(PP P)の指定部分が多く見られますが、あまり意識しすぎると全体の音色と音楽が縮こまってしまうので、音の発音に気をつけながら豊かな音色で奏でられるように心がけて演奏してみてください。(平賀美樹)
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