音楽には色々なジャンルや表現方法があり、「良い音」にも様々な種類があります。僕はこの「良い音」を見つけるために、沢山の音楽を聴き、色々なプレイヤーと演奏をしました。その度に新しい発見がありますが、これが良い音だとハッキリ答えられないのが事実です。それほど音楽を表現することは深いと考えています。
第1巻では沢山の音楽を聴くとよいと書きました。例えばユーフォニアム奏者であればイギリスのスティーブン・ミードの演奏を聞いたことがあることでしょう。またユーフォニアム奏者だけに限らず、ニューヨーク・フィルハーモニックのトロンボーン奏者のジョゼフ・アレッシや、ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団のトランペット奏者だったハンス・ガンシュなどのその時代を代表するプレイヤーたちの演奏に感動し、心を動かされたり勇気が湧いたりした人たちも多いのではないかと思います。
彼らの音楽を聴きながら、彼らがどんな演奏をし、どんな音色を持っているのか、という興味を持つことが大切なことです。
彼らのような一流のプレイヤーをはじめ、プロで活躍している誰もが共通して練習しているのが、この第2巻にあるスケール(音階)やアルペジオ(分散和音)の練習だと思います。
楽曲のほとんどはスケールとアルペジオからできています。色々な調のスケールやアルペジオを練習することによって楽器を操る自由度が変わってきます。
ピアノは平均律で音程が作られていますが、管楽器は純正律で音程を作ることができるため、ハーモニーを作る時、とても細かい音程まで調整することができます。
その細かい音程をチューナーで測ったりするのではなく、なるべく自分の耳で判断できるように心がけてください。チューナーを使う場合は音を鳴らしてそこから同じ音程を取れるように練習するのも良いでしょう。また、3 度・5 度といった具合に音程を取れるようにしたいものです。もちろん最初は周りの人から音程を示してもらったり教えてもらうことが必要だと思います。また自分の演奏を録音してチェックすることもできると思います。
楽器の練習は毎日の積み重ねですが、その中に演奏のコツが潜んでいます。ゴルフでも野球でも何かコツを見つけることによって、その練習方法や考え方が変わり、技術が伸びる方もいるでしょう。演奏のコツを見つけるためのヒントをまとめたものがこのエチュードであると考えています。
皆さんにとって、このエチュードが演奏技術向上のヒントになることを祈っております。(外囿 祥一郎)
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