戦国時代の市場の賑わいを表現。
ノスタルジックさと華やかさが漂うエネルギッシュな作品。
2014年、玉川学園中学部の土屋和彦先生より委嘱を受けて作曲し、同校8名のメンバー(1st Tp. 栗原旺大、2nd Tp. 渡邊礼葉、3rd Tp. 山恵太、Hr. 浅田真穂、1st Tb. 佐藤豪洲、2nd Tb. 仲谷正彦、Euph. 久保匠平、Tub. 渡辺大輝)によって第38回東京都アンサンブルコンテストにて初演されました。
「楽市楽座」は戦国時代、織田信長や豊臣秀吉をはじめ各地の戦国大名により、城下町など支配地の市場で行われた経済政策です。規制が緩和され、自由となり、当時の市場は大いに活性化しました。 この「楽市楽座」の「楽(らく)」という文字は本来「自由・簡便になったこと」という意味で名付けられたわけですが、私がこの題名を選んだのは政策の具体的な内容ではなく、活気を持った市場の様子や、人々の往来、庶民の楽しみや喜び、安らぎをその字面から感じ取り、その言葉の音と共に気に入ったためです。副題に於ける「抄(しょう)」とは「段落・抜き出し」等の意味がありますが、今回はこの作品を独立した一つの世界観と捉える上で、 さくらの抄 と副題を添えました。桜の花は古来より日本人に愛され、日本を象徴する花ですが、この作品に於ける「さくら」とはもしかすると人名かもしれないし、または季節や映像的背景のことかもしれません。是非、作品を演奏する上で想像を巡らせ楽しんで頂けると嬉しく思います。
遠く離れた時代、今自分の立っているこの場所でどんな人々が暮らし、どのような生活を送っていたのか、タイムトラベルの発明されていない現時点ではその様子を直接見ることはできませんが、絵巻や遺物から想像すると、もしかすると今よりもっと自由で楽しい世界だったのかもしれません。その日本の歴史の1ページ、そして、一つのある物語をこの曲で感じ、作品の世界観の中で思う存分表現して頂ければ作曲者として幸いです。(田村修平)
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