“パリ・トロンボーン四重奏団”が初来日した1987年、彼らを日本に招いたハラヤミュージックエンタープライズの故原谷晴夫氏から、日本の曲を演奏したいという彼らのために書いてみないかというお話を頂き、編曲したのがこの「夕やけこやけ」と「わらべうた」です。しかし当時、まだ経験も浅くトロンボーンを吹いたこともなければそのための曲を書いたこともなかった私にとって、それは大変勇気のいることでした。原谷氏から「彼らには、音域以外の制約は何もないから」と聞き、その言葉を信じて自由に書いたものの、実際に彼らの試演を聴くまではもうドキドキでした。しかし、試演後にはミシェル・ベッケ氏から「OK! ありがとう!」との嬉しい言葉を聞くことができ、ホッと胸をなでおろしたことを今でもはっきり覚えています。
コンサートではアンコールで演奏され、来日記念のCDにも収録されました。そのサウンドは聴く人の心にすーっとしみ入ってくるような、とても温もりのある柔らかな演奏で、金管楽器の特有の煌めくような華やかな響きも存分に楽しませてくれました。その日、聴衆の鳴り止まない拍手に応えて彼らは数えきれないほどのアンコール曲を演奏したのでした。
「夕やけこやけ」は、日本では外遊びに夢中になっている子どもたちに夕暮れの時間を知らせる音楽として放送している地域も多く、広く親しまれている童謡のうちの一つです。“パリ・トロ”のコンサートで聞いてみたい日本のメロディーはなんだろう・・・とイメージした時、心に浮かんだのがこのメロディーでした。
「わらべうた」は、古くから日本に伝わる童謡・唱歌より選んだ「ずいずいずっころばし」「うさぎとかめ」「うさぎうさぎ」「うさぎのダンス」の4曲のメドレーで構成されています。曲の中に現れる付点のリズムは、それぞれの歌に出てくるねずみやうさぎが飛び跳ねるように、生き生きと弾むように演奏して頂ければ幸いです。
“パリ・トロ”は初来日から10年後の1997年に惜しまれながら解散しましたが、私たちに計り知れないほどの感動と素晴らしい時間を残してくれました。“パリ・トロ”との出逢いから30年が経とうとしている今、本作品が出版の運びとなりましたことを、フォスターミュージックの皆様、そしていつも美しい楽譜制作にあたり多大なるお力添えを頂いている村上泰裕氏に感謝致します。この出版により、トロンボーンとその音楽がさらに多くの方々に愛好されますことを心より願っています。
香川県高松市生まれ。広島市出身。
4歳からピアノを始め、中学高校時代では部活動で合唱に熱中。高校二年より和声学・作曲理論を学び始め1982年東京藝術大学音楽学部作曲科へ。卒業後の1987年、パリ・トロンボーン四重奏団初来日の際にアンコールピースとして「夕やけこやけ」「わらべうた」を提供して以来、トロンボーンに関わる作品が多い。
トロンボーン四重奏のための「パスピエ」「メモリーズ」「スクエアダンス」「古都三景」「出逢いは、はじまり」「ふるさとのうた」「四季の詩」「ハナミズキの祈り」「砂の丘を越えて」など、またトロンボーンとピアノのための作品として、ミシェル・ベッケ氏のソロアルバムにも収録されている「幻想五木の子守唄」をはじめ、ソナタ「風花賛礼」「夜の静寂に」「春の呼ぶ声を聞く」などがある。合唱曲としては、落語を主題にした「時そば」(混声合唱)、女声合唱組曲「京都の恋(詩:黛まどか)」「花だより(詩:高橋うらら)」など。ピアノ曲としては「ピアノ発表会物語」がピティナ・ミュッセ(インターネット上の楽譜配信サービス)にて好評配信中。
1998年に広島で行われた国民体育大会では、開会式・閉会式のファンファーレを作曲。一般社団法人全日本ピアノ指導者協会正会員。
※高嶋の「高」は、はしごだかが正式です。システム上表示ができないため代用しております。
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