ピッコロ奏者であった彼女は、入院中の病院から外出許可を取って定期演奏会に参加。曲間で酸素吸入を受けつつ車いすで演奏し、その5日後に39歳の若さで旅立ちました。
楽団を愛し、いつも明るかった彼女は、死と向き合い、何を見ていたのでしょうか。残された者にその心中は計り知れませんが、作曲中、私の頭には彼女からもらった最後のメールにあった一文が常にありました。「ガンを患っても続けてしまう、鏡野吹奏楽団の魅力。どれだけ、団の存在に救われたかわかりません☆」
タイトルは「楽団は岡と共に鳴る」という意味の英題を日本語に再訳したものです。受け入れ難いものを受け入れた先が明るいものであると、信じています。
2013年に完成。5月19日に行なわれた鏡野吹奏楽団・第36回定期演奏会において弘田靖明の指揮により初演。
なお、打楽器にある「damaged music box」は「壊れたオルゴール」のことで、手回し式のオルゴールのドラム部分の突起を削り取ったもの2台を指定しています。これは「特定の楽曲として認識されない」ようにドラムを削り、その上で発音数が少なくなることを避けるために2台としています。もし、同様の効果が得られるのであれば、必ずしもオルゴールを傷つけたり、2台とする必要はありません。要は、オルゴールの音色でランダムに発音されればよいのです。この録音では、シートに穴を空けて音高と発音タイミングを自分で設定できる「オルガニート」という楽器を使用しています。
1978年生。東京音楽大学作曲指揮専攻および同大学大学院を首席で修了。
2002年、第71回日本音楽コンクール作曲部門(管弦楽作品)第三位。2008年、第18回日本管打・吹奏楽アカデミー賞(作・編曲部門)受賞。2009年および2010 年、日本吹奏楽指導者協会「下谷奨励賞」受賞。また、執筆活動やCD 等の企画構成への参加も多く、2008 年4 月よりNHK-FM「吹奏楽のひびき」パーソナリティも務めている。
これまでに作曲を吉田峰明、池辺晋一郎、西村朗の各氏に、指揮法を汐澤安彦氏に師事。また、2000年より6年間、湯浅譲二氏のゼミ生および助手として薫陶を受ける。現在、東京音楽大学・国立音楽大学各講師、日本管打・吹奏楽学会理事、21世紀の吹奏楽" 響宴" 会員。
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