人の生とは、一体何だろうと考える。美しいものに心を震わせることだろうか、そうでないものを排除することだろうか。愛することだろうか、後悔することだろうか。
ほんの一瞬の衝動で大切なものを壊してしまったり、素直になれなかっただけで、多くのものを失ってしまったり・・。心に生まれる、あらゆる想いの混在を見つめることは、とても息苦しい。そんな戸惑いが、いつだって我々の胸を締め付けている。
内に向かうものばかりではないだろう。笑いながら、他人を傷つけることが出来る生物は人間だけだ。泣きながら、他人を祝福出来る生物もまた、人間だけだ。
判然としない小さな感情の積み重なりはやがて、とりとめのない極彩色の渦となり、時を押し流してくれるのだろう。
本作品は、兵庫県立伊丹高等学校吹奏楽部の委嘱によって作曲され、早川嘉彦指揮、同校第90 回定期演奏会において初演された。僅か2年のうちに、私の吹奏楽作品のほとんどを演奏して下さった同校の演奏を聞く度に感じた私の印象は、真っ白な意思の結晶。 白とは無彩色だが、決して彩が無いのではなく、“全てを均等に含んでいる状態” が正確な表現。それは未分なカラフル。彼ら彼女らの未来はどのような色合いになるのだろうと、そんな事を考えていた。(井澗昌樹)
21世紀の吹奏楽 第16回 響宴 龍谷大学学友会学術文化局吹奏楽部演奏
大阪教育大学教養学科芸術専攻音楽コース卒業。同大学大学院芸術文化専攻修了。作曲を澤田博、北川文雄の両氏に師事。
主な作品に、バリトン独唱と管弦楽のためのカンタータ「倭建命 流離譚」、トランペット八重奏曲「四季の奏鳴」など。吹奏楽作品に、「火の断章」(2008年度全日本吹奏楽コンクール課題曲)、「Bye Bye Violet」、「愛の祭壇」など。
7agpr9rwglwc
〈4月〉先着200名様|会員限定クーポン
対象カテゴリ
会員限定
¥1,000 OFF
残発行枚数:189
下限金額:¥5,500
有効期間:2025/04/01 ~ 2025/04/30