氷の城：下田和輝 [吹奏楽極小編成-レンタル譜]

氷の城

この作品は、フォスターミュージック株式会社の委嘱作品として2023年3月に作曲されました。
20世紀ノルウェー文学を代表する作家・詩人、タリアイ・ヴェーソスの小説「氷の城」（1963年作）からインスピレーションを受け作曲された作品です。

舞台はノルウェーの雪に閉ざされた田舎町。ある時、11歳の少女シスが通う学校に、同じ年の少女ウンが転入してきます。二人は距離を縮め、運命的な絆で結ばれるも、ウンは森深くの滝の麓につくられた神秘的な「氷の城」へ行ったきり、姿を消してしまいます。
人間が誰しも経験する出会い、孤独、別れ、喪失からの回復を、自然の美しさや恐ろしさを感じさせる表現とともに描かれている素晴らしい小説です。

作曲当時、厳しい冬に見舞われた北海道利尻島に住んでおり、北国の厳しい冬にまつわるストーリーを探していたところ、この小説に出会いました。
ウンの失踪を知ったシスから曲は始まり、やがて春になって「氷の城」が瓦解し、シスの心が回復するまでを音楽で表現しています。
この素晴らしい小説の世界観が音楽を通して伝われば幸いです。

演奏上の留意点として、オプショナル楽器を除き最少15人から演奏が可能です。
ティンパニを含む打楽器は6人いることが望ましいですが、打楽器の人数が少ない場合は【Percussion (Alternative) 】パートを用いて1人で演奏することも可能となっています（スコア譜には記譜されていませんが、パート譜が同梱されています）。是非ご活用ください。（下田和輝）

仕様

スタディスコア/セット・版違いなど

【スコア】氷の城：下田和輝 [吹奏楽スコア]

楽器編成

主要ソロ：Alto Saxophone, Bb Clarinet

トランペット最高音：G（opt. Es）

打楽器奏者が少ない場合は【Percussion (Alternative) 】パート譜を用いて1人で演奏することも可能

下田和輝(Kazuki Shimoda)

1992年1月14日、岩手県洋野町生まれ。

2014年3月、尚美ミュージックカレッジ専門学校音楽総合アカデミー学科作曲コース（4 年制）を卒業。

作曲を菊池幸夫、高橋伸哉、広瀬勇人の各氏に師事。

2013年度「第5回 日本管打・吹奏楽学会作曲賞」において、作曲賞（一位）を受賞。「21世紀の吹奏楽 第18回, 第20回, 第21回, 第22回, 第25回,“響宴”」入選。平成29 年度 第50回JBA「下谷賞」受賞。

福井県立武生商工高等学校吹奏楽部や東海大学付属高輪台高等学校吹奏楽部などの全日本吹奏楽コンクール全国大会常連校への楽曲提供をはじめ、東京吹奏楽団やフィルハーモニック・ウインズ大阪、WISH Wind Orchestraなどプロ吹奏楽団への作編曲作品提供や日本各地の学校吹奏楽部・一般吹奏楽団の委嘱作品作曲など、吹奏楽の作曲・編曲を中心に活動をする傍ら、吹奏楽コンクールの審査員・アンサンブルコンテスト審査員や吹奏楽関連雑誌の執筆なども務め幅広く活動をしている。また、作編曲作品はCD 収録も多数で、楽譜はブレーンミュージック、フォスターミュージック、CAFUA、ウィンズスコア、ロケットミュージック等の楽譜出版社から出版・レンタルされている。

ミッドウェスト・クリニック主催「2024年バーバラ・ビュールマン作曲賞中学校バンド向け作品部門」において、吹奏楽作品「Thawing」が第一位を受賞。2024年度より、JR東日本の職場吹奏楽団であるJR東日本東京吹奏楽団の常任指揮者に就任。同じく2024年度より、母校である尚美ミュージックカレッジ専門学校の講師を務めている。

下田和輝 公式ウェブサイト → Shimoda-Kazuki.net

修正情報

THE ICE PALACE：Composer: Kazuki SHIMODA

This piece was commissioned by fostermusic Inc. and composed in March 2023.

The composition of this piece was inspired by the novel "The Ice Palace" (1963) by Tarjei Vesaas, a major writer and poet of 20thcentury Norwegian literature.

The novel's setting is a rural town in Norway covered in heavy snow. It tells the story of an 11yearold girl Unn who transferred to the school attended by Siss, another girl of the same age. The two girls grow closer and form a fateful bond. One day, Unn visits a mysterious "ice palace" built at the foot of a waterfall deep in the woods, and she disappears.

This wonderful novel depicts the encounters, loneliness, farewells, and coming to terms with loss experienced by every human being, while also portraying nature in a manner that evokes its beauty and terror.

When composing this piece, I was living on Rishiri Island in Hokkaido amid a harsh winter, and I came across this novel when looking for stories related to the harsh winters of the north.

The piece opens with Siss learning of Unn's disappearance and captures through music the eventual melting of the "ice palace" as spring arrives as well as Siss' emotional recovery.

I hope you can catch a glimpse of the worldview of this wonderful novel through this piece.

This piece assumes 6 musicians on percussion instruments, but you can also make use of the "Percussion (Alternative)" part, which can be played by one person for small ensembles.

It is possible to play from a minimum of 15 people, excluding optional instruments.

Specifications

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