【曲目解説】
「どんぐりころころ ドンブリコ」
恐らく、誰もが幼い頃に聴いたことのある童謡「どんぐりころころ」がこの曲では奇妙に用いられます。ハ長調の4分の2拍子、純粋無垢などんぐりの旋律は混沌に導かれ、もう誰もあの可愛らしさを感じることはできないでしょう。幻影というのは「感覚の錯誤によって、実際は存在しないのに、存在するかのように見えるもの」を意味し、「どんぐりころころ」自体が秋の童謡であるため、この名が名付けられました。いわば、「秋に見えてしまった幻」といった具合です。演奏にあたっては、変拍子が多く登場する曲となっていますのでそれぞれの拍子について理解し、対位法的に構築されているシーンではそれぞれのパートが自身の役割を理解することが成功の鍵になると思います。
この曲には一つの肝心な問題提起が含まれています。一体、「どんぐりころころの主題による」と聞いて誰がこのような曲を想像するでしょうか。恐らく大多数の人が原曲に沿った、もう少し可愛らしい曲を想像するかもしれません。しかしながらそれは「どんぐりころころ」が「可愛らしい童謡」であるという「既成の事実」に対して、なのであればこの作品もそうだろうという無意識で罪のない「先入観」から生まれたものでしょう。私はこの無意識のうちに己に形成されていた「先入観」に、この作品を通してハッと気づいていただきたかったのです。先入観や既成の価値観というのはいくらでも簡単に覆すことができ、変わり果てた姿で生まれ変わることができます。
「お池にはまって さあ大変」の通り、内容、技術共に大変な作品になりました。曲の全てが「どんぐりころころ」に由来していますから、散りばめられたどんぐりを異世界から探すような感覚でお楽しみいただけたら幸いです。(宮内栄輝)
【作曲家プロフィール】
宮内栄輝(Eiki Miyauchi)
2001年生まれ東京都出身、作曲を高昌帥氏に師事。大阪音楽大学在学中。
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