ひとつひとつ、静かに、丁寧に、シャッターを切っていく。そうして映し出された世界には、少しの恥じらいと自尊心と、そして確かなエネルギーが、バランスよく同居していました。自分は新鮮な気持ちで同じように「それ」ができているか。改めて考えさせられた結果完成したものが、今回の作品となりました。
楽曲では、様々な方向性により発せられた「音」が、大きく5つに分けられたセクションの中で、少しずつそのキャラクターを変容させていきます。長い楽器の管を通る、囁くような息の流れから、まるで金管楽器とは思えないような、広い音域の中での素速いフレージングまで、ソロという演奏形態で、どこまで音による彩りの可能性を追求できるかに主眼が置かれています。難易度は高いですが、ぜひ幅広く大胆な音楽表現を目指していただければ嬉しいです。
冒頭から練習番号2までは、キーは使用せず、息によるニュアンスのみで3種類の高低を表現してください。
練習番号11では、テンポと拍子が取り払われます。また、それぞれの小節上に表記されている秒数はあくまでも目安です。(野呂 望)
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