ドイツ民謡『山の音楽家』ってご存じですか? 最近の若い人は知らないかもしれませんね。山に棲む動物たちが笛を吹いたり太鼓を叩いたり、という楽しい歌ですが、これはその旋律をもとにした変奏曲です。バンドの中のすべての楽器にスポット・ライトが当たり、しかも「新入生も、上級生も主役になれる」とタイトルにあるとおり、楽器を手にして間もないバンドの新メンバーもスタンド・プレイができます(楽譜にはスタンド・プレイの指示はありませんが、自分たちが主役になる時はぜひ立って演奏しましょう)。
主役になるのは、クラリネット、トランペット、サクソフォーン、トロンボーン、ホルン、オーボエ&バスーン、フルート、ユーフォニアム&テューバ、ストリング・ベース&打楽器の順で、それぞれの楽器の新入生がまず旋律を演奏し、続いて上級生がそれを変奏する、という構成になっています。新入生の旋律は、演奏しやすいように調がそれぞれ変えられているものの、すべて同じで、使う音は5つ。リズムは4分音符と8分音符のみで、1箇所だけ3度の跳躍がありますが、あとはすべて順次進行。音が出せるようになったらすぐに演奏できるはずです。一方の上級生パートは、先輩にはこれくらいは頑張ってほしい、そして新入生に「自分もあのようにかっこよく演奏したい」と思わせてほしい、という願いをこめて、あえて少し難しくしました。
リハーサル・マークのアルファベットは大文字と小文字があります。大文字で示された部分は新入生が主役、小文字の部分は上級生が主役です。大文字の部分だけをつなげて演奏すれば、新入生のデビュー曲(上級生の伴奏つき)となり、小文字の部分のみをつなげると華やかな楽器紹介の曲になります。各部分のつなぎをスムーズにするためにリハーサル・マークがフレーズの途中に記されている箇所もありますのでご了解を。なお、バス・クラリネットとバリトン・サクソフォーンをすぐに新入生が担当するのは一般的ではないと考え、これらの楽器は上級生パートのみにしてあります。また、ダブル・リードが主役の場面は省略可能で(オーボエのみでも大丈夫です)、ストリング・ベースがない場合も演奏に支障はありません。
「楽器を手にして初めて演奏した曲」として、この変奏曲がたくさんのヤング・ミュージシャンたちの楽しい思い出になることを願っています。(後藤 洋)
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