文明が発達した昨今、都会は不夜城の如く言われ月の姿も巨大な電力で輝き続ける夜景の前ではかすんでしまい、その妖美な魅力も失われてしまう。夜も眠らぬ不夜城の中で暮らしていると、月の姿を思うのは十五夜とでしかないのでしょうか。
普段月など気にかけないで暮らしていましたが、ある時です、九州の新田原というところに訪れたとき、今までにない経験をしたのです。夜、一人で歩いていると、そこには街灯もなく月の光に全ての物がはっきりと見て取れるのでした。月は煌々と光を放ち目が眩しいほどでした。そしてその時初めて月の光による自分自身の影を見たのです。その印象があまりに強烈だったのを覚えています。
「月の宴」はそのときのインスピレーションから出来たものです。作曲に当たり自分なりにストーリーを描いてみました。
月も雲に隠され闇夜の中、もののけ達は息を潜め月の明かりを待っている。やがて雲も流れ、月が輝きを増すと辺り一面が青白い妖美な世界に変わり、今まで潜んでいた魑魅魍魎が一斉に繰り出し月の宴が始まる。
曲は5つのパートから出来ていて、レント・ミステリオーソで静かに始まり。雲に隠された月を暗示します。やがて急激なアッチェレランドを経て。変拍子のリズムの宴の模様を表現します。高音木管群で始まった宴の模様は全体に拡大し、次第に沈静化して、ユーフォニアムや木管群が歌い上げる叙情的なメロディの場面へと移ります。再び快活で活発なメロディにより宴の乱舞の模様を表し、曲が高揚した後、ピッコロ、イングリッシュ・ホルン、バスーンによる哀愁的なメロディが宴の休息を表し、やがて打楽器の変拍子のリズムにより冒頭のテーマが再現され、エンディングに向けて宴はさらに高揚して行きます。巫女の吹き鳴らす笛の音が響き渡り、宴は幕を閉じます。(矢部政男)
全曲版で演奏すると16分半という大作ですが、コンクールでも演奏できるよう作曲者によるカットがスコアに記載されています。コンクールでの演奏の際に参考にしてください。
1952年神奈川県横浜市生まれ。1970年逗子開成高校卒業後、横浜消防音楽隊に入隊し、吹奏楽とマーチングを学ぶ。
1973年航空自衛隊に入隊し、現在、航空中央音楽隊フルート奏者。当時の隊長であり作曲家でもある、斎藤高順1 等空佐の勧めで作曲を学び、音楽隊の作編曲を手がけるようになる。フルートを野口龍氏、峰岸壮一氏に師事。作曲を故名取吾郎氏、編曲を稲森康利氏の各氏より学ぶ。
1981年初めて応募した作曲コンテストで、行進曲「風にのって」が笹川賞3 位に入賞。その後、1984年に行進曲「海の貴婦人」で笹川賞2 位を受賞したほか、1985年下谷賞優秀賞「バンド・マーチング・オン」、1986年笹川賞2 位マーチ「ライト・スタッフ」、1988年下谷賞優秀賞マーチ「ノーザンエコー」、1989年下谷賞佳作「太陽に向かって」、1993年には「マーチ・エイプリル・メイ」が全日本吹奏楽コンクール課題曲に選ばれ好評を得る。この功績を讃えられ、防衛功労賞第三級賞詞を受賞。1994年航空自衛隊創立40 周年を記念して作曲した「空の精鋭」が、航空自衛隊公式行進曲として採用され親しまれている。
主要作品に、航空自衛隊アクロバットチーム“ブルーインパルス”の依頼により作曲した、航空ショー用音楽「プルーインパルス・セレクション」、政府専用機機内用音楽「時を超える翼」、自衛隊音楽祭り序曲「飛翔」などがある。
現在、スーザ協会会員、作曲家集団「風の会」会員。航空自衛隊の歴史と伝統を活かしつつ、演奏者の実力を最大限に発揮し、明るく快活で迫力のある作風はブナ以外を問わず高く評価されている。
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